たまには・・・ 〜綾蓮バージョン〜
蓮は珍しく体調不良だった。普段から自分にも他人にも厳しい蓮だったが、そうせいか8月の終わり頃からの体調不良が9月の頭まで引きずってしまい、学校を休むことになった。普段メールより電話で連絡してくる綾人も、この時ばっかりはメールで『大丈夫?』と聞いてきて、蓮はだるい体で『ああ』とだけ返事を返した。
ゆっくり寝ようとしていた頃、インターホンがなった。起きなければと思ったのだが、体が思うように動かない。すると玄関が勝手に開いた。鍵を閉め忘れていたと気付くのに、数秒要した。
「蓮・・・?具合どう?」
「神城か・・・」
心配してきてくれたのだろうか。そんなことはいいから、早く帰ってほしい。人の声さえも今は頭に響く。
「一応、林檎を買ってきたんだけど、食べる?」
「今はいい・・・早く帰れ」
とにかく蓮は一人になりたかった。人が傍にいるというのに、どうしても慣れない。落ち着かないのだ。
そんな蓮の気持ちに気付かないのか、はたまた気付いていてそこにいるのかは分からないが、綾人はなかなか帰ろうとせず、台所でごそごそしていた。
「・・・何をしてるんだ?」
「ヒトミちゃんがね、蓮が風邪ひいたって教えたら、急いでお粥作ってくれたんだ。だから台所に置いておこうと思って」
ヒトミもマメなものだ。いちいちマンションの住人が風邪ひいたからといって、お粥を作っていたら、大変だろうにと蓮はぼんやりと思った。
しかし、用事が済んだはずの綾人は未だに帰ろうとはせず、蓮の部屋にいた。蓮はしびれを切らして、言った。
「いいから、早く帰れ。落ち着いて寝られない」
そう言ってベッドに潜り込んだのだ。しかし、綾人はベッドの方に近付いてきて。
「おい、いい加減に・・・!」
気が付けば、綾人の顔は近くにあり、そのまま口付けられた。いつもならすぐに突き放せるのだが、熱のせいか体が思うように力が入らない。深く口付けられているせいか、とても息苦しい。
やっとの思いで離してもらった時には、蓮は肩で息をしていた。
「はぁ・・・はぁ・・・いきなり何をするんだ、お前は・・・」
「いつもより元気がないみたいだね、蓮。いつもならすぐに押しのけられるもんね」
「・・・風邪がうつったらどうするんだ」
「蓮の風邪がうつって死ぬんなら本望だよ。ただ・・・僕には蓮が僕より先に死ぬなんて耐えられないんだ。だから早く元気になってね、蓮」
「・・・・・・」
そう言って綾人は蓮の部屋を出た。
残された蓮はふと寂しくなった。
「死ぬなんて・・・簡単に言うな」
綾人が病気だというのは何となく知っていた。それが治らない病気だということも。
でも治ると信じなければ、治るものも治らないではないか。
そんなことを思いながら、蓮は眠りに就いた。
唇に残る余韻を胸に・・・。
あとがき
あっれー?神城先輩さり気に黒くないですか?しかもなんかシリアス過ぎませんか?もっとギャグっぽくしようと思ったのに・・・あれ?
BLならなるべくギャグを、がモットーの私にしてはおかしいですね。ギャグ描写皆無です。
ギャグの神様に見放されたのでしょうか?
きっとシリアスの神様が降りてきただけですよね!
おそらく特定のCPを指定するなら、BLでは綾蓮が一番好きです。特定でなくていいなら、マッキ―受けが一番ですけど。
こんなところでBL語っても仕方ない気がするので。それこそ、このssより長く語れる自信があります。(そんな自信いりません)
しかし、BLならキスシーン書ける自分が恐ろしい・・・キスなんて恥ずかしくて描写出来ません!!普段は!!
ここまで読んで下さった方に感謝です。
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