永遠回帰




 私の願い。

 欲深い私の願い。

 たくさんありすぎて、全てが同時に叶うなんてないから。

 でも私は選択しなければならない。

 だから私はよりたくさんの願いが叶う選択をする。
















 今まで、たくさんの運命を巡ってきたから、だいたいのことは分かってるつもり。
 平家の間者を見つけることも簡単に出来た。
 どの時空だったか、弁慶さんんが間者と会っているところをみたことがあるから。
 他にも、どうすれば一人で平家のところに行けるかも分かっている。場所だってもちろん知ってる。
 私はそれほど様々な運命を巡ってきた。
 どの運命にも共通するところはあるけど、どうしても変えたい運命がある。
 私はその為に何度も、何度も運命を巡ってきた。その為にどんなこともしてきた。
 その永遠とも言える旅に私は疲れてしまった。

 だから、私はこれで終わらせる。















 私の願い。

 それは仲間を救うこと。
 最初はそれだけ。

 でも次第に欲が出てきたのが、私の最大の罪。

 知盛を助けたい。

 あの瞳に少しでも特別な者として映ったらいい。

 どうかあの夏のことを忘れないで。


 そして・・・。















 「望美!!」

 聞き覚えのある声。ずっと聞いてきた声。
 大切な幼馴染の声が響いた。
 将臣くんにはたくさん迷惑をかけてしまった。私が源氏でなければ、あなたはそんなに苦しまずに済んだかもしれないのにね・・・。
 今もそう。
 ここは平家だから、将臣くんの声がこんなに響くのは当たり前。他の仲間の声は聞こえるわけがない。
 だって私は独りでここまで来たんだから。
 いつかの時空で先生がしたことと同じことをしてみただけ。
 清盛と一騎打ち・・・なんて馬鹿なことだよね。
 でも、清盛がいる限り、八葉のみんなや朔や白龍に危害が及ぶかもしれないから。だから私は、清盛を独りで倒しにきた。悲しむ人がいることをちゃんと知っているのにね・・・。

 「お前・・・どうして・・・」

 うん、きっと分からないよね。きっと誰にも理解されない感情だろうから、私はただ微笑むことにする。自嘲しているかのようにしか見えないかもしれない。
 ただ、もう知盛の死を見たくなかったんだよ。
 その瞳に私が映っても、いなくなってしまうのであれば意味がない。
 おいていかれるなんて嫌。
 でも、何度も見て思ったの。
 この運命は変えられないんだって。私が願いを捨てない限り。
 だから、私はひとつだけ、ある願いを諦めた。

 「・・・神子殿・・・」

 知盛が見える・・・驚いてるかな?私がこんなところにいるなんて。
 清盛を目の前で消してしまったけれど、それもただ知盛に私を覚えておいてもらう為にしたことだから、後悔なんてしてないよ
 例え、ここで命を落としても・・・。

 「知盛!誰か連れてきてくれ!!望美が!!」
 「・・・もう・・・助からないだろう・・・その傷では・・・」

 痛そうだと思うかもしれないけど、不思議と痛みはないんだよ。満ち足りた気分で、何だか幸せだとも思う。
 知盛の瞳には、今、私しか映っていないから。
 私の流したアカだけが、あなたを魅了してくれればいい。
 そう、永遠に・・・。

 「知盛・・・」

 私は消え入りそうな声で呼びかける。まだ声が出ることへの驚きと、伝えたいことをうまく伝えられないもどかしさ。

 「好き・・・」
 「・・・」
 「・・・あなたの・・・生きている運命が・・・ほしかったの・・・」

 あなたを独占し、生かす運命が欲しかった。ただ、今の願いはそれだけ。あなたには重荷であろうこの願いを、口に出すのは少し残酷かもしれないね。でも、これで最後だから・・・。

 「・・・もう・・・置いていかれるのは嫌だから・・・仕返し・・・だよ・・・」
 「・・・いつの話をしているんだ・・・?」
 「私が・・・前にいた時空の・・・話・・・」

 わけが分からないよね。おいていったのは、あなたであって、あなたではない。私が想っている知盛は一人であり、たくさんいるのだから。
 その全てが愛しいの。

 「・・・もう・・・お別れみたい・・・目が霞んできたな・・・将臣くん・・・最後まで迷惑かけてごめんね・・・」
 「もういい・・・望美・・・何も言うな・・・」
 「知盛・・・私のこと・・・忘れないで・・・絶対・・・忘れないでね・・・」
 「・・・」
 「・・・やっぱり・・・あの願いは・・・叶えられなかったな・・・」
 「・・・まだ・・・望むことがあるのか・・・?貪欲な神子殿だ・・・」
 「うん・・・・・・知盛・・・あなたと・・・あなたといる・・・『未来』が・・・欲しかったな・・・」

 これが私が捨てた願い。
 あなたとの未来をうまく思い描けないけど、それでも望んでいたんだ。



 ああ、世界がだんだんなくなっていくね。

 これが旅の終焉。
 罪深い私にはぴったりの最後。












 過去にこだわっていた私には、最初から、『未来』なんてなかったのかもしれない・・・。












あとがき
思いつくのが死ネタってどうなんだろう、テスト中に。
こんな運命もあるんじゃないか・・・という妄想。これには続きがありますので、期待せずに待っていて下さい。
しかし、将臣くんがかわいそうな気がしないこともないですね。幼馴染そっちのけで、告白してますからね()
いいんです、将臣くんはそういうポジションなんです。
ていうか、タイトルと合ってませんね、内容が。いえ、続きに合うようになってるんです。多分。
ここまで読んで下さってありがとうございます。










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