一ノ瀬蓮の迷惑記
「それで、ヒトミちゃんがね・・・」
蓮はその日何度目になるか分からない溜息をついた。
久しぶりに会った友人。世間話をしていたら、いつの間にかこの話題になっていた。
否、もう考えるのも面倒なくらい前な気がする。
確かに彼女がいい子だということは、もう既に何度も聞かされて分かっているし、実際、ヒトミと出会ってからの綾人は、以前よりも愛想笑いをしなくなったと蓮も思っている。
ただ、それと今この状況とは話は別だ。このカップルに関わるとろくな目に会わない。
そう・・・始まりは卒業式も間近の、マンションでだった・・・。
〜蓮の回想〜
「・・・何だ、その花束は」
蓮が綾人に声をかけた。綾人は薔薇の花束を持っていた。
「あぁ、これはヒトミちゃんへのホワイトデーのお返し」
綾人らしい、と蓮は思った。というより、なかなかホワイトデーに薔薇の花束を贈る奴なんて見かけない。
「でも、まだ足りないんだよね・・・」
「それでか?」
確かに大量というほどはないが、十分花束と言える量はある。
いったいどれだけプレゼントする気だ。
「街中探し回ったんだけど、これが精一杯で・・・もっと遠くまで探してみた方がいいかな・・・」
「お前、体調が良くなったばかりだろ。無理するとまた倒れるぞ」
「でもホワイトデーまで時間も無いし・・・」
綾人は悲しげな表情を浮かべる。
普段冷たそうにしている蓮だが、実際は困っている者を放っておくことが出来ない、ある意味損な性格。故にこんな表情をされると、諦めろとは言えない。
「・・・仕方が無い、俺も手伝う」
「本当?蓮がいてくれると心強いな。じゃあ・・・このメモに書いてある花屋で薔薇を探してきてくれる?」
そのにはずらっと書かれた花屋の名前。こんなに行く必要があるのだろうか?
「神城・・・お前、どれだけ薔薇を集める気だ」
「そうだね・・・腕いっぱいぐらいかな?」
そんなに必要ないだろ、と蓮は思ったが、あえて言わなかった。
「僕も他の所を探してみるよ。よろしくね、蓮」
そうして花屋を巡りに巡って、それでも綾人は納得せず、最終的に一ノ瀬家の力まで使って、薔薇の花を集めさせた。
これで貰う本人が喜ばなければ、骨折り損だ。しかし、蓮自身、これを貰って嬉しいかと問われれば、嬉しくないと答えるだろう。こんなに多くの薔薇、1つの花瓶に入れたら主張しすぎだろうし、分けて飾るにしても、こんなにそんなに置く場所もないだろう。第一、花の水替えも大変そうだ。
後日、貰った本人は喜んでいたらしいと聞いたので、良かったが・・・。
それからというもの、ことある毎に綾人からもヒトミからも相談役に抜擢されてしまい、迷惑なことこの上ない。「お前らいい加減にしろ!」と、何度怒鳴りそうになったか・・・。
でも根が優しい蓮のこと、毎回怒るに怒れないのが現状である。
(ま、2人が幸せならそれでいいがな・・・)
しかし、もう少し抑えてもらえないだろうか、と考える蓮なのであった。
綾人の話は終わる気配が無い・・・。
あとがき
何だ、この終わり方。ギャグと言っても大変中途半端なこと・・・。
どうやら私、綾ヒト+蓮が好きらしいです。綾ヒトは両方ボケだと思っています、だからツッコミに一ノ瀬さんというスパイスが必要なんです・・・何か蓮ヒトファンに大変失礼な気がしてきました。
正直、ギャグでこんなネタしか出てきません。しかも惚気を書くのが恥ずかしくて、省いちゃうという・・・すいません、口説くような台詞、恥ずかしいんです。本当に、愛の台詞を入力するのに毎回どれぐらい時間をかけるか・・・!!
しょ、精進です、精進!!
ここまで、読んでいただき、ありがとうございますv
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