幸せのカタチ


 
仕事が終わるといつも渉さんの家に行く。その度にいつも作ってくれる甘いお菓子。カロリー計算もちゃんとしてくれている。そのお菓子がとても好きで、私はとても幸せ。でもふと思うことがある。

 
彼には料理人としとの人生の方が幸せだったんじゃないかって。

 
一度はその道を志して、でもそれは閉ざされてしまった。彼の実力が云々というわけじゃなくて、周りの環境がそれを許してくれなかっただけ。

 
だけど環境は変わって、今は私のパートナーをしてくれている。それは私としては嬉しい。いつも一緒にいられるし、頼りになる。渉さんがパートナーで良かったって本当に思ってるよ。でも彼にはこれ以外の選択肢があったんだってことも知っていて、それが何だか苦しい。本当にこれで良かったのかなんて私一人では決められないから。

 
「どうした?」
 
「え?」
 
「ぼぉっとして・・・何かあったのか?」
 
「ぁ・・・」

 
考え事をしてると周りがよく見えなくなってる、私。いけない癖だとは分かってるけど、簡単に直るものでもないみたい。

 
「渉さんはまた料理人に戻りたいとか思わないの?」

 
もっと聞き方があるのかもしれないけど、私にはこの言葉が一番しっくりきた。私が気にしてるのはこのことだけ。渉さんは優しいから、私のことを放っておけないんじゃないかって。そんなことないって思ってるのに、少しの不安が残って、それがまるで重石のように私の中で引っ掛かってる。

 
「思わないことはない。だが、それよりも今はお前を守っていたい。・・・お前の傍にいたい」
 
「渉さん・・・」
 
「それは理由にならないか?」
 
「うぅん・・・私も渉さんの傍にいたいから」

 
二人同じ気持ちなんだって信じてる。信じられる。だって渉さんは私に嘘をついたりしないから。

 
「いつもありがとう、渉さん」
 
「いや・・・救われているのは俺の方だ」
 
「え?」
 
「お前がいてくれるから、こうして穏やかな気持ちでいられる」

 
ここまで言われると何だか照れくさくなる。でも私もきっと同じなんだろう。同じぐらい大きな気持ち。
 
だから私も彼に同じだけ返してあげたい。渉さんがくれた分だけ。

 
「もし怪盗を引退することになったら、今度は私が渉さんのサポートをしてあげるからね」
 
「まだ先の話だろう」
 
「そうだけど、約束。ずっと一緒にいたいから」
 
「・・・そうだな」

 
渉さんは微笑む。この顔が一番好きだな。

 
渉さんと一緒に、今を精一杯生きたい。そして同じ未来を描きたい。







 
この気持ちは渉さんが作ってくれたお菓子よりも甘い感情。


















あとがき
 ああーーーー!!何これ!!すっごい恥ずかしい!!!見直せない!!(ぉぃ)
 一種の羞恥プレイですよ。(しかしこのサイトの殆どがそれ)
 屋敷さんも大好きなんですよ。ターゲットの中じゃ一番好きなんですよ。一番優しいと思うし、恭介君じゃないけど憧れますよね。
 でも私の知る限り屋敷さんの創作をして下さっているサイト様は少ないです。だから自分で充電しようとした結果がこれですorz
 今orzを間違ってoraってやっちゃったんですけど、意外にイケてる気がしました。でもこれでは本当に土下座みたいです(笑)
 屋敷さんの怪盗EDは好きです。でも屋敷さんに料理を止めてほしくないんです。だからあんずが怪盗を辞めた後にでもしたらいいと思います。もしかしたら一哉パパみたいに忙しくて出来ないかもしれませんけどね。
 実はこれと同時期に作った創作もまたお菓子ものでして、どこまで食べたいんだ私って感じです(汗)
 ここまで読んで下さってありがとうございます。















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