共にいる幸せ








 「頼久さん、誕生日おめでとうございます!」
 「・・・誕生日・・・ですか?」
 「こっちにはそういう習慣がないんですか?誕生日っていうのは・・・」

 あかねから誕生日について説明を受ける頼久。生まれた日を祝う日だということは理解できた。

 「だから今日はケーキっていう私達の世界のお菓子を作ってきたんですよ。詩紋くんに教えてもらって一人で作ったんです。少し形は不恰好ですけど、味は保障します」

 本当はデコレーションケーキが良かったんだけど・・・とあかねは苦笑した。
 京では現代で作ったようなお菓子を作るのは難しい。今のあかねにはシフォンケーキを作るのが精一杯だった。
 しかし頼久は嬉しかった。この「けぇき」という食べ物がどれほど作るのが難しいかは分からないが、あかねが自分の為に作ってくれた事実が嬉しかったのだ。

 「とりあえず食べてみて下さい。もし口に合わなかったら食べなくてもいいですからね」
 「口に合わぬなど・・・そのようなことはありません。ありがたくいただかせていただきます」

 頼久はケーキを口にした。甘い味が口いっぱいに広がる。

 「どうですか?」
 「・・・口にしたことがない味ですが・・・美味しいと思います」
 「良かった!」

 あかねが喜ぶ顔を見て、頼久も顔を綻ばせた。結局のところ頼久にとってはあかねの笑顔が一番嬉しいのだ。

 「あかね殿は食べないのですか?」
 「え・・・でも頼久さんに作った物ですし・・・」
 「折角なので一緒に食べませんか?」
 「そうですね。ではいただきます」

 あかねは元から甘い物が好きだ。それを頼久も知っているので、それならば共に食べた方がいいと思ったのだ。
 2人で仲良くケーキを食べた後、あかねはいそいそと糸と糸を編んだ物を出してきた。

 「これは・・・?」
 「ミサンガって言って私達の世界のお守りというか・・・願い事が叶うんです。腕とかに着けておくと」
 「はあ・・・」
 「これは頼久さんへのプレゼント・・・贈り物です」
 「しかし私は先ほどけぇきもいただいました。こんなにしていただくなど・・・」
 「いいんですよ。私が祝いたいんですから。だからこれも貰って下さい。ね?」
 「・・・ありがとうございます」

 しかし貰ったはいいが、どのようにそれば良いかが分からず、頼久はおろおろとしてしまう。
 その様子にあかねも気付いてクスリと笑い、頼久の手をとった。

 「こう・・・こうやって着けるんですよ」
 「すみません・・・お手を煩わせてしまい・・・」
 「流石にこっちの世界の物じゃないから仕方ないですよ。私も気付かなくてごめんなさい」
 「いえ、あかね殿の謝るようなことでは・・・」
 「・・・あ、着けられましたよ。願い事が叶うまでは外しちゃ駄目ですからね」

 願い事・・・と考えても今の頼久にはそれは一つしかない。

 「私の願い事はあかね殿、貴女とずっと共にありたい・・・それだけです」
 「頼久さん・・・」

 あかねは赤面した。そういういつまでも初々しい反応をするあかねを頼久はやはり可愛いと思う。
 頼久はあかねを抱き寄せた。

 「傍にいてくれますか?あかね殿」
 「・・・お願いされなくたってずっと傍にいます。絶対離れてなんてあげないから覚悟して下さいね。頼久さん」
 「はい」

 愛しさが抑えられず、頼久はそっとあかねに口付けをした。























あとがき
 頼久さん誕生日おめでとう!!ということで頼あかを書いたわけですが・・・どうしよう、最後の甘い部分の変換が頼久さんというより余程柊に近いのではないかと不安に思ってます(三木さんの囁き=柊的な図式が最近確立されているようです) 頼久さんだってED後くらいは甘い言葉を吐きますよ!!きっと!!
 八葉抄とかしてないので京EDを具体的に理解出来てないんですけど、それはスルーします。現代EDの方が頼久さんはしっくりきそうなんですけどね。
 ところどころツッコミたいところはありますが、頼久さんが可愛いのが仕方ないと思います かっこよくて可愛いんですよ、頼久さんは。
 ここまで読んで下さってありがとうございます。













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